ホルモンでお食い初め

広島在住、30代男性会社員のお食い初め(初体験)記録

自分を保つモノを考える

たまたま見たドキュメンタリー番組の中のあるテロップに興味を持った。番組は、大阪は西成にある貸ロッカー屋が舞台で、そこに出入りする家も定職も無い人々が何を預けているのか、を映していた。ロッカーのごく狭いスペースの中に、ある者は精神のバランスを取るために聴くCDを入れ、ある者は自分が確かに働いた証と雇用被保険者手帳を保管していた。

テロップには、「ロッカーにしまってあるのは 最後まで"自分"を保つための何か」の一文。それを失うと自分、つまり精神が崩壊する、ということだ。僕にとって、そんな何かはあるだろうか、考えてみた。

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益子に広がる日本の原風景

2017年末、日本民藝館展の訪問に併せて念願の益子に行ってきた。なんせ濱田庄司が暮らした地。焼物好きとして1度は訪れたかった場所なのだ。
益子焼の代名詞とも言える柿釉も好きだ。土地の歴史が感じられる焼物(その土地の土を使い、そこで受け継がれる装飾、技術がある等)に魅力を感じるため、柿釉がどのように使われているか、どんな品に出会えるかを楽しみに益子へ向かった。

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偶然お会いできた濱田晋作さん。

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甑島の来訪神「トシドン」を見る

2017年12月31日。念願のトシドンを見に甑島に行ってきた。例年大晦日はテレビを見続けるただの肉塊となる私も、今年は前日から上甑島に泊まり、当日の朝にトシドンが降臨する下甑島に高速船で渡る行動力。どうでも良いが、甑島へ渡るフェリーの中で見た西部警察(大門が殉職する回)が最高に面白かった。武田鉄也がテロリストに脅され、何かの間違いとしか思えない火力が過ぎる爆破シーン等々。何より大門の殉職シーンは演技的にも尺的にも濃厚だった。そうこうしている内に甑島に到着。

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町中で見た小さい子が描いたトシドンの絵。

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江波山気象館探訪

「空白の天気図」という小説を夢中で読んだ話を以前したが、この小説の舞台となった広島地方気象台(現 江波山気象館)に行ってきた。1934年竣工の被爆建物で、市の重要文化財にもなっている貴重な建築物であるが、それより何より、あの職員たちがいた場所である。今から約70年前、自ら原爆被害に遭いながらも1日も欠かさず観測業務を続けてきた職員たちの闘いの場所なのだ。

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広島地方気象台(現 江波山気象館)。その姿が見えた瞬間テンションが上がった。

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大相撲 平成29年11月場所(九州場所)観戦

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平成29年11月場所を見に福岡国際センターへ行ってきた。TVとは違い、やはり生で見る相撲は良い、有無を言わさず観客の意識を引き込む迫力がある。観客も夢中だ。1人カラオケさながらの絶叫スー女も多いし、壮年男性による怒号にも似た野太い声援「千代丸ー可愛いよー!」が聞こえたりもする。1人で声を張って応援することに違和感のない空間だ。サッカーや野球のような集団スポーツ、集団での声援とはまた違う個の闘いが土俵の内外で繰り広げられているようだった。

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「空白の天気図」に見る広島原爆と枕崎台風

「空白の天気図」という小説を読んだ。まぁ面白くて、夢中で読んだ。原子爆弾とその直後に襲来した枕崎台風により壊滅的被害を受けた広島で、自ら被害に逢いながらも責務を全うする広島地方気象台の台員たちの姿を描いた話。

たまたまGooglemapで江波山気象館(旧広島地方気象台)を見つけ、調べる中でここを舞台にした本小説を知った。なぜ枕崎という鹿児島県の一地方の名が付いた台風と広島が結びつくのか。広島に住み、かつ奥さんの出身地が枕崎市である僕にとってはとても興味深い作品なのだ。

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江波山気象館(旧広島地方気象台)。1934年竣工。2017年11月11日撮影

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ベタ繁殖不成立の記録(動画あり)

ベタを飼いはじめて1年半が過ぎた2017年夏、繁殖を試してみた。ベタを飼うきっかけとなった本「ソロモンの指環」の中で描かれる、繁殖時のベタの不思議な行動を目の前で見たかったのだ。加えて、ヒレの形状や体色がどのように遺伝されるかにも興味があった。

結果を言えば、タイトルの通り繁殖させることができなかった。相性が悪かったのかそれはわからないが、どのような環境や手順で試したか、ベタはどのような行動を見せたかを記録しておく。繁殖にあたっては、以前の記事の「繁殖(繁殖方法、稚魚飼育、遺伝)」の章にまとめた各サイト等を参考にさせてもらった。

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お見合い中のメスを威嚇するオス

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2017年の広島で追う、若尾文子と「その夜は忘れない」

1962年公開の映画「その夜は忘れない」。戦後17年が経った広島市を舞台に、人々の意識から消えつつある原爆被害を取材するため東京からやってきた新聞記者(田宮二郎)と、そこで出会ったバーのマダム(若尾文子)の葛藤を描いた作品。
若尾文子さんの美しさに加え、広島に住む僕としては身近な場所の半世紀以上前の姿も楽しめる貴重な一作であるが、映画の中に映るあの場所は2017年現在どうなっているのか。気になったので行ってみた。若尾文子ファン的には聖地巡礼でもある。

その夜は忘れない [DVD]

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ベタ(熱帯魚)飼育情報まとめ

トウギョの闘いは、片方の死に終わることがきわめて多い。ひとたび興奮がたかまって、短刀の第一撃が加えられたならば、わずか数分のうちに鰭がザックリと切りこまれる。
体長わずか二、三センチのトウギョの突撃はじつに強く猛烈で、もし彼があやまって水槽のガラスにぶつかったときなどは、その音がはっきりと聞こえるほどだ。

コンラート・ローレンツ著(日高敏隆訳)「ソロモンの指環」より

この文章を読み、僕はトウギョ(闘魚)、つまり「ベタ」を飼った。

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土佐犬の闘犬を見る(動画あり)

2017年5月、念願のとさいぬパーク(旧:土佐闘犬センター)に行ってきた。「とさいぬパーク」なんて可愛らしい名称からは想像もできない、建物に描かれた殺意に満ちた土佐犬の絵が堪らない。この絵をたまたまGoogleマップで見て以来ずっと行ってみたい場所であった。5月4日に訪問、目の前で繰り広げられる闘犬に感銘を受けつつ帰宅、またいつか行こうと思っていた矢先の5月11日、突然の閉園発表。訪問から2週間後の5月19日には52年続いた営業が終了した。

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Googleマップを見ながら思わず「嘘だろ」と呟いてしまった絵。

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