2020年春に向けて言いたい、私が好きな若尾文子作品ベスト5
吉報が届いた。2020年春、若尾文子映画祭開催。久しぶりにニュースに流れる若尾文子情報に、仕事どころではなかった。しかも自分にとっては、若尾文子を好きになったきっかけでもある「若尾文子映画祭」である。今から約3年前に開催された、第一回目の「若尾文子映画祭 青春」。そこで見た「しとやかな獣」の若尾文子に目を奪われて以来、今に至っている。
映画祭は約1年後と少し先の話になるが、私の頭の整理も兼ねて「若尾文子出演作私的ベスト5」と「レビューサイトなどでのランキング」を紹介したい。映画祭の時、作品選びの参考になれば幸いです。
ふと我に返ると、職場の28インチモニターいっぱいに若尾文子のセクシー画像が開かれていた。美しい。
「卍」のスチール写真。
私的若尾文子出演作ベスト5
若尾文子が出演する映画は、1952年の「死の街を脱れて」から2005年の「春の雪」まで計160作品。このうち36作品しか見ていないが、個人的に好きな5作品を挙げるとこうなった。
1. 清作の妻
限界点に追い込まれていく人間の一部始終に引き込まれる。妾、村、戦争。暗い影を背にひっそりと虚勢を張って生きる若尾文子の美しさたるや。まさに盲目的なほど。村社会の嫌らしさを忘れさせてくれる、居候の兵助(小沢昭一)の愛らしさも見ものだと思う。
2. しとやかな獣
他人の金をいかに得るか、もしくは都合よい愛人を傍に置くか、が思考の中心にある不快な人たちしか出てこない作品。若尾文子も同様だが、唯一、怒りや哀願といった感情に任せず、淡々と計画的に事を遂行する潔さに応援してしまう。白黒つけず、グレーに生きぬく芯の強さが美しい。
3. 妻は告白する
今で言うストーカーな若尾文子が堪能できる作品で、恐い。頭にあるのは川口浩への欲望のみで、周りが一切目に入らない女がそこにいる。若尾文子自身、役に取り憑かれているとしか思えず、異様なエネルギーが画面から溢れている。圧巻の演技だと思う。
4. その夜は忘れない
本作を推すのは、個人的な環境によるところが大きい。と言うのも、私が住む広島が舞台だからである。1960年頃の広島の様子が見られる楽しさや、今現在も残るあの場所に若尾文子(或いは田宮二郎)が映る驚きがある(映画内で映る広島各所の、当時と今の様子を比較した記事はこちら)。
5. 男はつらいよ 純情篇
寅さんはもう最高だ。主題歌の歌詞にある「きょうも涙の陽が落ちる」は、山田洋二監督が助監督を務めた川島雄三監督が好んで使った「サヨナラだけが人生だ。」に通じると思う。寅さんを見るたびに前を向く力をもらえる。若尾文子的には、本作は大映が倒産した1971年の公開。活躍の場を映画の世界からテレビ、演劇の世界に移した頃の、貴重な姿を映している。
レビューサイトでのランキング
若尾文子出演作に対する評価を、レビューサイト等から3つ集めた。
Filmarks
※調査ページはこちら。レビュー数が10以上で、かつスコアが4.0以上の作品を抽出(2019年2月23日時点)。
みんなのシネマレビュー
※調査ページはこちら。レビュー数が5以上で、かつスコアが7.5以上の作品を抽出(2019年2月23日時点)。
「若尾文子映画祭 青春」開催時のファン投票
※「若尾文子の人気作品ベスト10発表!日本が誇るファムファタールの魅力に迫る - シネマトゥデイ」より
- しとやかな獣
- 赤い天使
- 最高殊勲夫人
- 女は二度生まれる
- 清作の妻
- 卍(まんじ)
- 妻は告白する
- 青空娘
- 「女の小箱」より 夫は見た
- 浮草
個人的には、今回の映画祭で下記の作品を見てみたい。
死の街を脱れて、十代の性典、偽大学生、卍、祇園囃子、雪の喪章、美貌に罪あり、閉店時間、やっちゃ場の女、婚期
私の住む広島では、我らが自慢の映画館「八丁座」さんが上映してくださるはず。楽しみに待ちたい。