道は険しいが心は休まる、広島県呉市の「源宗坊寺」
山中にある静かなその寺は、水害による土砂崩れの影響で、こちらが辛い気持ちになるほど敷地内のあちこちが荒れていた。ただ、木々の隙間を縫って降りそそぐ光は美しく、味のある表情の仏像たちが見守ってくれているようだった。心休まる寺だった。
広島県呉市にある「源宗坊寺」の印象である。
お寺の中で最も大きな仏像、不動明王(約6m)。個人的に、横からのアングルに意外性があった。
2017年3月に訪れたこの時は、お寺の敷地内で誰も見かけることがなかった。ひっそりと、山の中で時が止まったような空間。しかも前述のように土砂崩れで敷地内も荒れており、管理されていないお寺なのかとも思っていた。
ところが、先日久しぶりに気になって源宗坊寺を検索したところ、サイトが新しくなっていた(以前のサイトは、真っ赤な背景色に文字が並び、独特のオーラがあった)。しかも、こまめに情報発信されている。よく見れば、オリジナルのキーホルダーを作ったりもされている。失礼ながら、こんなに呼吸のあるお寺とは思っていなかった。中の人の動きや思いが見えて親しみを感じ、思わず訪問から2年近く経った今、記事を書いている。
古い情報にはなるが、2年前に訪問した際の写真を以下に紹介する。
呉駅から車で15分程度だが、山中の不安になるような細い道を走る。駐車場前の畑で唯一人の姿を見た。
駐車場前にあった、源宗坊寺案内図。
焔摩天。密教においては方位神の集団「十二天」の一柱で、南方の守護神らしい。
土砂崩れの影響で、寺院内はかなり荒れていた。
色々なものが、土砂とともに流されていた。
崖の高い位置に鎮座する修行僧。
光が射し込む竹林。鳥の鳴き声と竹の葉が揺れる音だけが聞こえる。ヒーリングミュージック。
土砂災害を防ぐための砂防堰堤。この奥には風神様がいるが、訪問時はフェンスが張られ、通行できなかった。
八大龍王神 (昇り龍)
八大龍王神 (下り龍)
土砂崩れにより、寺院内の通路には岩が流れ込んでいる。竜王神までの道のりは最も険しかった。
「当寺は今後も皆さまが自然の中に座す諸仏と共に過ごされる休養の場として在りたいと思います。」
お寺の歴史を紹介する寺院内の看板の最後には、上記の一文が書かれてあった。まさにそんな時間を過ごさせてもらった。