なぜ『写ルンです』があると酒が美味くなるのか
学生時代の同級生3人と久しぶりに会うことになった…そう聞くと楽しげだが、少し落ち着いて欲しい。おじさん3人が集まって楽しい事などあろうか。いやあるわけが無い。無策のまま町を歩いてただ疲れ、気楽な楽しさを求めてすぐ居酒屋に入るトリプルおじさんの姿がはっきりと見える。
それはそれで楽しい気もするが、ここはひとつ、ぬるま湯から出てネクストステージに行こうじゃないか。と言うことで、町歩きを楽しみ、さらに夜の酒を一層美味いものにするための方法を考えた。それが『写ルンです』ドーピングだ。
20年ぶりくらいに手にした『写ルンです』。こんなに軽かったか。
『写ルンです』が酒を美味くする理由
社会人を15年近くやっていると、「『写ルンです』で酒が美味くなる」ではご理解いただけないことはぎりぎり分かる。なので、私以外のダブルおじさんの理解を得るため、今回下記の資料を用意した。
資料内の「小倉」は、今回我々が集まった場所(北九州の小倉)だが、このドーピングは全世界どこでも通用する。
詳しくは上のスライドを見てもらいたい…と言いたいところだが、そもそも中身などほぼ無い。要約すると下記3点となる。
- 小倉(旅先)で過ごす2日間、気になったものを『写ルンです』で撮ろう。
- 許された撮影枚数は27枚のみ。その制限が、町の景色に対する感度を上げる。
- 撮影と言う義務が、適度な疲労と達成感を生み、酒を美味くする。
ダブルおじさん宛てに、このスライドと『写ルンです』を一方的に送付したところ、皆企画に乗ってくれた。可哀そうとでも思われたか、確認が面倒くさかったかのどっちかだ。
やってみてわかった『写ルンです』の効能
それぞれ別の県に暮らすおじさんたちが、各自思い思いの写真を撮りながら小倉に集合。町を歩いては撮影し、飲み、また街を歩いては撮り、飲み…を繰り返した。その中で感じた『写ルンです』の効能はこうだ。結果的に、やはり『写ルンです』は酒を美味しくしてくれた。
- 脳を活性化させる。27枚の制約が撮る撮らないの判断を促し、より良い景色を探すための集中力も高める。
- 友達との時間を第1に行動できる。枚数気にせずに撮れない分、目の前の人と景色に向き合える。
- 出会いを生む。『写ルンです』に興味を持って話しかけてくれる方(女子)がいた。
上はスマホで撮ったものだが、そもそも小倉が面白かった。
お洒落な店もあれば、旦過市場など昔の姿を残した場所も多く、散策には持ってこい(飲み屋も多いし)
まとめて現像、データ化して共有するため、小倉からの別れ際に『写ルンです』は回収した。
ただし、写真は暗かった
現像をお願いしていた店からデータが届き、わくわくしながら確認した。が、見事に写真は暗かった。露出不足。自分の表情が固まっていく様子を天から見下ろすような気分だった。27枚中三分の一はこの有様で、私はデジカメ(自動露出)に飼いならされたただの豚だと知った。私以外のダブルおじさんも同様だったけど。
インデックスシートを見て意識を失いかけた。
今後のために『写ルンです』の仕様をメモすると、ISO感度は400、レンズはF値10(焦点距離32mm)、シャッター速度は1/140秒とのこと。屋内や、夕暮れ以降は内蔵フラッシュは必須と考えたほうが良さそうだ(今回は1度も使わなかった)。以下は、何とか撮れていた写真です。
思えば、「現像」もそうだけど、そもそも「撮れていない(真っ暗)」と言う失敗自体久しぶりだ。スマホで手軽に写真が撮れる今、フィルムカメラの、しかも『写ルンです』を使うことは少ないと思うが、デジカメには無い楽しさがあった。何より酒が美味くなる。気になった方はぜひお試しください(フラッシュは忘れずに)。