ホルモンでお食い初め

広島在住、30代男性会社員のお食い初め(初体験)記録

津和野、弥栄神社の「鷺舞」を見る(2019年)

威嚇か求愛か。赤い袴式もんぺを履き、白い羽を大きく広げた鷺の鳥人。その模型を大阪の民族学博物館で初めて見た時は気分が上がった。「鷺舞」と呼ばれる伝統舞踊で、元々は疫病除け祈願に始まったものらしい。全国数ヶ所で見られるが、展示されていたのは島根県津和野町のもので、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。2019年7月27日、念願の津和野の鷺舞を見てきた。

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国立民族学博物館で見た鷺。生まれて初めて、コスプレしたいと思った。

津和野の鷺舞は毎年7月20日と27日の2日間、町内9~11ヶ所で奉納されている。(中日として、7月24日にも弥栄神社境内とJR津和野駅前で披露される)。奉納のルートや時間は津和野町日本遺産センターや、津和野町観光協会のサイトに掲載される。

参考に、2019年7月20日の鷺舞ルートは下記の通り。
15:00 津和野町役場前 → 15:30頃 弥栄神社 → 15:40 嘉楽園 → 16:00 小学校入口 → 16:20 沙羅の木 前 → 16:25 ささや / 古橋酒造前 → 16:30 高津屋伊藤博石堂前 → 16:35 郵便局前 → 17:00 吉永米店前 → 17:10 お旅所 → 17:30 津和野町役場前

子鷺踊り

鷺舞に先行して、13:00から子鷺踊りが始まった。子鷺の衣装をまとった地元の女の子(小学3年生~6年生)たちが町内各所で踊るものだが、これがもう天使。とてもかわいい。休憩を挟みつつ約2時間、炎天下の中踊り続けて頭が下がる。もし親だったら泣きながら写真撮り続けるだろな。

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炎天下の中約2時間、町内を練り歩きながら大体12箇所くらいで踊りを披露する

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途中お茶休憩やアイス休憩があった。

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子鷺の後を追う女の子。憧れがあるのかもしれない。

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子鷺に帯同し、世話をする子鷺OG。笠には素朴な飾り。

私が小学校の先生なら、子鷺の通信簿はオール「5」にする。

鷺舞

子鷺踊りが終わり、鷺舞が始まるまでの15分間。喫茶店のメロンサイダーで10秒チャージからのスタート地点に行くと、午後から降り始めた雨が強まり、体育館での開催がアナウンスされた(1週間前の7/20も雨で体育館開催だったそう)。1回の舞いは約10分で、15:00、15:30、16:00の3回披露された。

鷺舞は鷺舞役者二名のほか、悪魔祓いをする赤毛の棒振(ぼうふり)二名、道化師役で腰に小太鼓をつけ、バチを持って舞う羯鼓(かんこ)二名の舞方によって行われる。またその後方に囃子方として笛、小鼓、鐘、太鼓がそれぞれ二名、その後方に唄方が控えている。

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鷺を中心に据えた鷺舞の陣形。個人的に注目は、鷺の後方にいる道化師役の羯鼓(かんこ)と、その後方に立つ唄方。

鷺の衣装に惹かれて津和野まで来たが、鷺舞は、衣装だけじゃなかった。唄も良い。鐘と太鼓がゆっくり、力強く刻むリズムに合わせて響くおまじないのような唄。心地が良い、寝る前などに聴くと良いんじゃなかろうか。鷺の羽から鳴る音と、鷺が羽を広げた時にピョンと跳ねる羯鼓の動きも印象深い。

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リアルボードゲームのようだ。

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鷺の羽は檜の木材39枚からできているらしい。歩く度にパチンと音が響くが、最初はここから出ている音とは思えなかった。
それくらいしっかりと音が出る。

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中の人の存在に動揺して、何の話をしてもらったかさっぱり覚えていない

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次の披露の時間まで休んでいた2羽の鷺。口を開けている左の鷺はオスで、閉じている右がメス。阿吽。

唄がまた良い。気持ちが落ち着く。声に出して唄いたい。

津和野を見る

今回時間が無く鷺舞以外見ることができなかったが、津和野町は初めて知る歴史も多く、もっとじっくり見て回りたい場所だった。温泉や、日本5大稲荷で参道に続く約1000本の鳥居もあると言う「太皷谷稲成神社」など、観光パンフレットには見どころが多く紹介されている。特に気になったのは、津和野に隠れキリシタン迫害の歴史があったことと、その歴史を今に伝える「乙女峠」と呼ばれる場所があること。辛い歴史だ。

津和野の歴史や文化を紹介する「津和野町 日本遺産センター」はおすすめで、色々とお話を聞かせていただいた。個人的に探していた鷺舞の人形(もう販売はしていない)を、わざわざ倉庫に取りに行って見せていただいたりもした。

あと、殿町通りの掘割を泳ぐ鯉の大きさが自分史上明らかに1番で、割と衝撃だった。観光客からたっぷり餌をもらっているらしい。ただ、冬になるとあまり食べなくなるそうなので、ぜひ夏に行かれる方はその目で確認していただきたい。

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「津和野町 日本遺産センター」にも鷺舞のマネキンがいる。

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欲しかった鷺舞人形を見せていただいた。作り手の方が亡くなられ、残念ながら今は製作されていないそう。