ホルモンでお食い初め

広島在住、30代男性会社員のお食い初め(初体験)記録

そして炎は消えた

広島のとある町。原爆ドームからもほど近いその地に、いかにも古くからある、絵に描いたような町中華があった。暖簾には「花仙」(かせん)の文字。その店は薄暗いガード下にあり、店内の様子は外からはわからない。人が中に入る様子を見たこともない。
私にとって、このガード下は毎日通る場所ではあったが、そこにある花仙は、町と同化した風景でしかなかった。

f:id:lomotani:20200609195044j:plain
中華料理「花仙」。外観。

続きを読む

究極のパワースポット、「広島市中央卸売市場」を見学する

「市場」こそ究極のパワースポットだ。特に「日の出」の時間帯ならもう無敵である。最高密度の青い夜空を徐々に照らす一筋の光。そして、市場に響く威勢の良い声、フォークリフトが駆け抜ける音、水揚げされた魚が箱の中を跳ねる躍動感は生気に満ち満ちている。自然界のパワーと人間界のパワーが融合する場所・・・それが市場だ。と言うことで、2020年2月の平日のある日、広島市中央卸売市場に行ってきた。

f:id:lomotani:20200223161935j:plain
夜明け前。声が飛び交う広島市中央卸売市場を闊歩するカープ坊や

続きを読む

なぜ『写ルンです』があると酒が美味くなるのか

学生時代の同級生3人と久しぶりに会うことになった…そう聞くと楽しげだが、少し落ち着いて欲しい。おじさん3人が集まって楽しい事などあろうか。いやあるわけが無い。無策のまま町を歩いてただ疲れ、気楽な楽しさを求めてすぐ居酒屋に入るトリプルおじさんの姿がはっきりと見える。
それはそれで楽しい気もするが、ここはひとつ、ぬるま湯から出てネクストステージに行こうじゃないか。と言うことで、町歩きを楽しみ、さらに夜の酒を一層美味いものにするための方法を考えた。それが『写ルンです』ドーピングだ。

f:id:lomotani:20200131004232j:plain
20年ぶりくらいに手にした『写ルンです』。こんなに軽かったか。

続きを読む

虎と牛と島津と太鼓。薩摩が誇る田園パレード「市来の七夕踊」2019

(2022年7月29日追記)
2022年8月7日(日)、3年ぶりに開催!作り物の踊りは無しも、今回をもって祭りは休止。もちろん行く!熱中症に気を付けましょう!(市来の七夕踊公式ホームページ)

(2021年7月12日追記)
コロナの影響で2021年も開催中止決定。しかし、コロナが治まれば来年は開催される様子!(市来の七夕踊公式ホームページ)

(2020年7月15日追記)
コロナの影響で2020年の開催は中止、休止は2021年まで延期(南日本新聞)」とのこと!

大事なことを先に言うと、「市木の七夕踊」は2020年、330回目の開催をもって休止となる(詳しくは「2020年開催をもって休止の宣言」を参照)。なので、行くのを迷っている方はぜひ行かれてください。この記事で1番言いたいのはそれです。
以下、「市木の七夕踊」の概要について調べたことと、2019年開催時の様子をまとめる。これから知る方や、来年行こうとされる方の参考になれば幸いです。

f:id:lomotani:20190919223405j:plain
これから始まる祭りを前に、田んぼの脇でひと休みする牛

続きを読む

「日本ベタコンテスト 2019」に出品する

300円で売られるベタがいれば、1万円を超える金額で取引されるベタもいる。高額な彼らは、生まれながらに遺伝的な評価がある個体の内、スタイルが良く、かつ健康で、かつ模様や色の美しさを兼ね備えた選ばれし個体だ。ただし、ベタの場合美しさを磨く努力はベタ本人ではなく飼い主がしなければならない。だから、スーパーモデルなベタを見ると、名もなき裏方の過ごした時を思う。そんな光と影を味わいに、国内では恐らく唯一の品評会「日本ベタコンテスト 2019」に行ってきた。

f:id:lomotani:20190824172107j:plain
百貨店の美術画廊に並んでそうな個体。美しい。ハーフムーン・キャンディ

続きを読む

津和野、弥栄神社の「鷺舞」を見る(2019年)

威嚇か求愛か。赤い袴式もんぺを履き、白い羽を大きく広げた鷺の鳥人。その模型を大阪の民族学博物館で初めて見た時は気分が上がった。「鷺舞」と呼ばれる伝統舞踊で、元々は疫病除け祈願に始まったものらしい。全国数ヶ所で見られるが、展示されていたのは島根県津和野町のもので、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。2019年7月27日、念願の津和野の鷺舞を見てきた。

f:id:lomotani:20190816143429j:plain
国立民族学博物館で見た鷺。生まれて初めて、コスプレしたいと思った。

続きを読む

パーントゥ 2019 日程予想

f:id:lomotani:20190808001627j:plain
島尻のパーントゥ・プナハ。汚されたくなくば、去れ。

最高の夜とは何か。答えはパーントゥに捕獲される夜だ。と言うことで、やってきました恒例のパーントゥ日程予想です。2018年11月にユネスコ無形文化遺産に登録されからは初の来訪となる今回。例年以上に注目が集まっているんじゃないでしょうか。予想の方も、2017年、2018年と続いて今年で3回目。今回も当たる気しかしない(当たったことはない)ので、ぜひ参考にしてください。
※ちなみに、私は今年のパーントゥは都合悪く行けませんが、予想は本気でしています。魂だけでも宮古島に向かわせます。

続きを読む

釜ヶ崎を歩く 2019年夏 (センター周辺、酩酊じいさん、泥棒市、ホルモン中ちゃん)

1年で最も幸せを感じた瞬間はいつか。2018年は8月15日、釜ヶ崎だった。釜ヶ崎夏祭りで見たエイサーの、解放感と幸せに満たされた30分を今でも思い出す。2019年春、釜ヶ崎に大きな変化があった。1970年に建てられた釜ヶ崎の本丸、あいりん総合センターの閉鎖。センター内にある医療センターは2020年まで残るものの、その移転完了後、2021年から取り壊しが予定されている(その跡地に労働福祉センターが戻る)。そんな生まれ変わりが進む釜ヶ崎を2019年7月13~14日に訪れた。

f:id:lomotani:20190720004746j:plain
閉鎖されたあいりん総合センターの下にあったメッセージ。

続きを読む

「三次もののけミュージアム」と花街に見た幻想

広島県三次市にある「三次もののけミュージアム」に行ってきた。妖怪研究家である湯本豪一さんの、5,000点に及ぶコレクションが寄贈された本館。そもそもなぜ三次で妖怪なのか疑問だったが、『稲生物怪録』と言う、江戸時代の三次が舞台となった妖怪物語があるそうだ。三次は妖怪界隈ではメジャーな土地なのだ。この、もののけミュージアムを含め、初めて訪れた三次で胸躍る幻想を見た。

f:id:lomotani:20190626233653j:plain
江戸時代に作られた妖怪の木像。
廃仏毀釈からも逃れ、福島のお寺に保管されていたそうだが、何のために造られたかはわかっていないのだそう。

続きを読む

ベタの繁殖と稚魚成長の記録(動画あり)

バイエルンの靴打ち踊り」と聞いてピンと来る方がいたら、あなたは余程の熱帯魚好きだろう。私がベタを飼い始めるきっかけになった本『ソロモンの指環―動物行動学入門』によると、アルプス地方の熱帯魚愛好者たちは、ベタの繁殖の様子を「バイエルンの靴打ち踊り」と呼ぶそうだ。ユネスコ登録されてそうな風格すら漂うが、どんな踊りか想像できなさ過ぎて笑える。バイエルンジョークか。
2019年1月、そのバイエルン伝統の靴打ち踊りを見ることができたので記録する。

f:id:lomotani:20190613223359j:plain
生後20日の稚魚の様子。200~300匹程度いる。

続きを読む